伊藤詩織さんが監督を務めたドキュメンタリー映画「ブラックボックスディアーズ」について、許諾を得ていない映像が複数使用されていたことが明らかとなり、波紋を呼んでいる。伊藤さんはこの事実を受け、謝罪の意を表し、今後は個人が特定できないように映像を差し替える考えを示した。
この映画は、伊藤さんが性的暴行の被害を訴えた事件を扱ったもので、刑事手続きでは訴処分となったものの、民事裁判においては彼女の同意がなかったことが認められた経緯を記録している。問題となっているのは、ホテルの防犯カメラの映像が無断で使用されている点で、元代理人の弁護士らは、これが人権倫理上の重大な問題であると指摘している。
伊藤さんは会見を開いた元代理人たちの指摘を受け、映像を使用する際の承諾が抜け落ちていたことを謝罪し、最新バージョンでは個人の特定ができないように対処すると述べた。また、防犯カメラの映像については、ホテルからの承諾が得られず、公益性を重視して加工の上で使用したと説明した。
この作品は、アメリカのアカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞にノミネートされており、発表は日本時間の3月3日に行われる予定だが、日本での公開は未定である。伊藤さんの行動には賛否が分かれており、特に映像使用に関する倫理的な問題がクローズアップされている。映画を巡るこの問題は、今後の彼女の活動や作品に対する影響を及ぼす可能性が高い。