テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」(月~金曜午前8時)は10日の放送で、「トランプ関税」や折からの物価高対策として、国民に対して一律3万円以上の現金を給付する案が与党内で浮上しているとの報道をめぐり、コメンテーターたちが一様に疑問を呈した。
関係者によると、給付の金額としては一律で3万円~5万円程度の案が出ているという。財源は明らかになっていない。この案が初めて報じられた9日には、SNS上で批判の声が相次ぎ、一時的な給付よりも減税による対応を求める声が多い。今夏の参院選を控えているタイミングでもあり、「選挙対策」ではないのかという見方も根強い。
番組では、自民党内でも「給付をして効果があるのか。選挙対策と見透かされる」「補正予算を(編成して)通すのはかなりハードルが高い。選挙対策(の政策)に野党は乗れないだろう」などの声があることや、与党内には消費税減税を求める声があるものの、自民党の鈴木俊一総務会長は否定的な見解を示していることなども伝えた。
MCを務めるフリーアナウンサー羽鳥慎一から「このタイミングでの給付案ということで、選挙対策という指摘があります」と水を向けられた木曜コメンテーターで社会起業家の石山アンジュ氏は「選挙対策にしか見えないですよね。また選挙前にばらまき案件かと思う」と指摘。「自民党の姿勢に対しては、去年の選挙で厳しい判断が下されたんじゃないかなと思う。そこに火に油を注ぐようなものなんじゃないかなと感じてしまう」と述べ、国民1人当たり3万円とした場合でも、単純計算で数兆円が必要になることに触れ「それだけの規模の財源はどこにあるんですか。まず、今の関税対策に関しては、優先するのは事業者の支援ではないか」と苦言を呈した。
弁護士の結城東輝氏は「選挙対策だとたぶん有権者はみんな分かっている。だからこそ去年の衆院選で自民党は少数野党になっていて、こういうやり方は認められないという前提で、野党が多数派なので(財源を確保するための)補正予算をこのまま通すのは、相当ハードルが高いと思う」と指摘。現金給付について「当然ですが、選挙対策でのばらまきなんてあってはならない」とクギを刺した上で、「関税対策でいうと、アメリカという最大の貿易国の1つが、恒久的、抜本的に保護主義的に変わっていくという時に、今年、一律数万円支給したからといって、何か変わるという話ではない。焼け石に水のようなことを考えるのではなく、抜本的にどうすれば関税主義みたいなところを日本が乗り越えていけるのか、引き続き経済成長できるのかというところを考えないといけないと感じる」と述べ、一律の現金給付案に懐疑的な見方を示した。